「もう子どもにパソコンを使わせない時代ではない」時代が求める
学習環境とは

ITジャーナリスト高橋暁子さん

ITジャーナリスト。 LINE・Twitter・Facebook・InstagramをはじめとしたSNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。「ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち」(幻冬舎エデュケーション新書)ほか著書多数。書籍、雑誌、ウェブメディアなどの記事の執筆、監修、講演、セミナーなどを手がける。

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子どもたちにおけるスマートフォンの所持率、利用時間は年々伸び続けています。スマートフォンなら、アプリを入れれば大抵のことはできてしまいます。しかし、スマートフォンではできないこともたくさんあります。
元小学校教員で自身も小学生の母であるITジャーナリストの高橋暁子氏は、「時代が求める学習内容を子どもに身に着けさせるためには、家庭でもパソコンを用意する必要がある」と言います。なぜパソコンなのでしょうか。理由と背景についてうかがいました。

プログラミング学習は必修化に

子どもたちの間では、スマートフォンが人気です。しかし、スマホだけでは子どもにさせたい体験ができない恐れがあります。たとえばスマホの利用はスマホゲームやSNSの利用など、コンテンツの消費中心になってしまいます。画面も小さく機能も限られており、娯楽に利用されるだけのことが多いのですね。
しかし、パソコンを使えば消費以外のこと、たとえばコンテンツを創造することもできます。その代表的なものがプログラミング学習です。2020年には小学校でもプログラミング学習が必修化となります。プログラミング学習は、スマホやタブレットでできるものもありますが、やはりパソコンが必要なものがほとんどです。

最近は「Minecraft Hour of Code」など子どもでも簡単にプログラミングが体験できるツールが多数あります。プログラミング学習できる環境を用意して、消費ではなく創り出す体験をさせることは、子どもにとって貴重な経験となり、新しい視点を与えることができるでしょう。
対象は小学校だけではありません。既にプログラミング学習が導入されている中学や高校でも、今後比重が高まる傾向にあります。中学では、現状、技術・家庭科目の「情報に関する技術」という単元でプログラムによる計測・制御について学びます。時数は3年間で数時間程度と少なかったのですが、今回の学習指導要領の改定によって学習内容が大幅に拡大します。

高校では現状、「情報の科学」科目で情報通信ネットワークなどを学んでいますが、元々科目自体が選択制の上、履修率も2割程度に留まっています。ところがやはり「情報Ⅰ」という科目が新設され、全生徒が必修となります。つまり、小学校・中学・高校のすべてにおいて、プログラミング学習が重視されてきているというわけです。
2016年6月に発表された経済産業省の調査によると、IT系人材は90万人に対して約17万人不足しています。今後、2019年をピークに人材供給は減少傾向にあり、より一層不足数は拡大する予定です。世界的に見ても、イギリスなど、義務教育段階においてプログラミング学習を導入している国が増えています。このような時代背景を考えると、プログラミングができることは将来的に子どもの可能性を広げることにつながるでしょう。

時代が求める「デジタル読解力」

経済協力開発機構(OECD)が、生徒の学習到達度調査(PISA)を行っていることをご存知でしょうか。3年ごとに、義務教育終了段階(15歳)において、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の三分野について調査を行っています。近年、「デジタル読解力」も調査対象となりました。
PISAでは、ボランティア活動を志す女の子のブログを読み、少女に適した活動をリンク先から探し出してメールで教えるといった課題が出されました。正答するためには、別のサイトから目的の情報を探し出し、複数の選択肢の中から適切な情報を見極める力が必要です。日本の平均正答率は62.3%で、OECD加盟国の平均を上回っていました。しかし、およそ4割が不正解であったことも事実です。

パソコンを使ってホームページを閲覧したりメールの送受信などの基本操作ができれば回答できたものの、そのような操作に習熟していなければ得点が伸びないケースもありました。パソコンを使った操作に習熟していたり、使いこなせることが求められているというわけです。
なおPISAによると、日本ではチャットやゲームでのICT利用頻度は高いものの、学習における利用頻度は、OECD諸国平均と比べて低いという結果が出ています。最近は優れた学習ソフトが多数出ています。パソコンソフトの中には、動画で学習内容が理解しやすくなっているものや、音声で発音が確認できる英語の学習ソフトなど、優良なものがたくさんあります。ぜひ積極的に学習に活用していきたいですね。

大学入試にもCBT方式導入へ

パソコンが使えることが当たり前として求められる時代になっていることは、大学入試からも分かります。
たとえば2020年からは、大学入試センター試験に代わって新入試「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」がスタートします。文部科学省によると、CBT方式(Computer Based Testing)を導入するといいます。
CBT方式とは、コンピューターを利用して実施する試験方式のことであり、受験者はコンピューターに表示された試験問題をマウスやキーボードを用いて答えることになります。前提として、パソコンの利用が求められていることがわかります。
学校における学習時間の利用だけでは、パソコンに十分親しむことは難しいでしょう。マウスやキーボードの操作には、ある程度の慣れや経験が必要です。やはり家庭で普段から触れることができるかどうかが大切になります。

子どもに用意したい学習環境とは

子どもに最適な学習環境を整えたいと考えている保護者の方は多いでしょう。そのためには、家庭で子どもがパソコンを使えるような環境を整えておくことをおすすめします。
家庭でこれから子どものためにパソコンを用意するなら、学校で利用している端末に合わせる方が、混乱なくスムーズに利用できるでしょう。私の教員時代は、学校ではMS-DOSを使っていました。現在でもやはり多くの学校では Windows パソコンが利用されており、企業でもやはり Window パソコンの利用が目立ちます。Windows パソコンは利用できるようにしておくと安心です。

インターネットの利用に際しては、子どもが夢中になりすぎてしまったり、危険な目にあったりしないような対策が必要です。たとえば、フィッシングサイトなどの違法サイトや有害サイトなどにアクセスしないようにフィルタリングサービスを利用することは大切です。その他、子どもが小さなうちはパソコンを居間に置いて、保護者の目が届くところで利用させたり、利用時間に関するルールを決めておくことなども必要でしょう。

Windows 10 には、パソコンの利用時間を制限できる機能があります。曜日ごとに使用できる時間帯を設定したり、一日あたりに利用できる時間を細かく設定できるので、使い過ぎが防げます。また、有害コンテンツをブロックすることもでき、年齢制限を有効にすることで年齢制限のあるコンテンツを制限したり、対象年齢のコンテンツは利用できるようにすることもできます。さらに、子どものパソコン利用履歴が確認できるようになっています。保護者にとって、子どもに安心して使わせられるパソコンと言えるでしょう。